JPBVリーダーシッププログラム
SHIFT

2023.08.14
アンケート

SHIFTの参加者にはどのような変化がおきているのか~参加者へのアンケート報告

2021年4月にスタートしたJPBVリーダーシッププログラム「SHIFT」参加者の属性やそれぞれのかかわり、プログラム参加による変化等を明らかにするために、SHIFT参加者に対するアンケートを実施しました。


SHIFT事務局の江上(えがちぇん)と山口(しょーぞー)、SHIFT開始時からの参加者で、今回のアンケート調査設計に協力した合同会社めぐるの木村さん(きむ)の3人で、アンケートの結果から見えてきたことを対話しました。 



調査の概要

(1)対象

2023年3月末現在のSHIFT参加者28名


(2)期間

2023年3月25日(土) ~4月8日(土)


(3)方法

オンライン(ウェブフォームによるアンケート)


(4)項目

①年齢

②性別

③居住地(都道府県/主な生活拠点)

④所属(主な収入源となっている先)

⑤勤務先(本店・支店) ※所属が金融機関の人のみ

⑥所属先での役職

⑦所属先における兼業・副業の可否

⑧兼業・副業の有無

⑨SHIFTに参加したきっかけ

⑩SHIFTに参加する際の費用負担

⑪SHIFTの参加期間

⑫最も印象に残っているベースキャンプセッション

⑬所属先以外の活動への参加頻度

⑭SHIFTの活動への参加頻度

⑮所属先の同僚との付き合いの頻度(所属先以外で)

⑯SHIFTの参加者との付き合いの頻度(SHIFTの活動以外で)

⑰所属先の同僚への信頼感

⑱SHIFTの参加者への信頼感

⑲SHIFTが内面に与えた影響(意識や価値観、能力など)

⑳SHIFTが外面に与えた影響(行動や成果など)

㉑所属先の同僚へのSHIFTのオススメ度合い

㉒バリューベースバンキングの実現に向けたアクション ※個人や所属先が特定される内容は修正しています


(5)回収率

100%


(6)実施主体

JPBVリーダーシッププログラム「SHIFT」事務局

※協力:合同会社めぐる(アンケート調査設計)



しょーぞー:今回アンケートを取るとなった時に、せいぜい20数人でアンケートを取ったところで、いつもコミュニケーションを取っている人たちだし、新たな気づきはないだろうなと高をくくっていました。でも、結果を見て、アンケートを取ることは名案だったと謝りたいです。


きむ:それはどんなところに感じましたか?


しょーぞー:グラフで視覚的に見せられた時の印象に違いがありました。また、SHIFTの活動以外でSHIFTの参加者同士がそれなりの頻度で付き合っていることがわかり、こんなにみんなSHIFT以外で付き合っているんだと驚きました。毎月3回ある「ベースキャンプセッション」「インターバルセッション」「ラーニングジャーニー」以外でも、多頻度で付き合っている人がたくさんいてびっくりしました。








SHIFT参加者の属性について


①年齢






②性別




きむ:年齢は30代が最も多く、30代と40代で8割以上となっています。また、性別は男性が約8割、女性が約2割という構成になっていますね。


えがちぇん:20~60代が参加していて、非常に幅広いですね。人材育成プログラムにこれだけ幅広い世代が参加しているのは珍しいのではないでしょうか。


きむ:もともとSHIFTがターゲットにしている世代はあったんですか。


えがちぇん:多様であればよいと思っていました。今は女性の参加者が少ないから、女性をなんとか増やしたいと思っていますが、感覚的には4割ぐらいが女性のイメージがありますね。


しょーぞー:最初は「男塾」でした。2年で女性がやっと2割になりました。30~40代は銀行員が最も忙しい世代。一番忙しい人たちが集まっているんだとわかって驚きました。


えがちぇん:ビジネススクールだと40代が平均ですが、SHIFTは若いですね。一番脂の乗った、伸びしろのある人たちが参加してくれていますね。


しょーぞー:仕事でも具体的な課題の解決に一番直面しないといけない世代です。自分が若い頃は、銀行の仕事以外に取り組む余裕なんてありませんでした。


きむ:その世代は子育て世代でもあるので、ご家族の共感もないと参加できないかもしれませんね。


しょーぞー:SHIFTにおける女性の存在感は拡大しています。SHIFTのプログラムは対話がベースになっているので、女性が1人入るだけでまったく違います。男性とは違う受け止め方があります。男ばかりのグループだと、課題が出されるとすぐに解決策を言いがちです。女性の場合は違う受け止め方をしてくれることが多いです。女性が1人いるだけで対話の幅が広がるので、もう少し増やしていきたいですね。


えがちぇん:これまで年齢を意識していなかったことを改めて感じました。ランクとかヒエラルキーとかをまったく意識していませんでした。


しょーぞー:これも銀行時代とはまったく違うところです。私がかつて所属していた日銀だと、必ず年次を確認します。年次が1年上だと敬語を使わないといけないという風習がありました。これはたぶん他の銀行でもそうだと思います。お互いに確認しておいた方が安心だということで、まずは年次を確認します。


きむ:SHIFTは呼ばれたい名前で呼び合ったり、対等な関係を大事にしていますね。


しょーぞー:いつも年齢を気にしていないから、アンケートを見てこういう年齢構成だったことに気がつきました。





③居住地



東京都 8名

千葉県 3名

宮城県 2名

神奈川県 2名

愛知県 2名

京都府 2名

宮崎県 2名

北海道 1名

山形県 1名

山梨県 1名

大阪府 1名

兵庫県 1名

長崎県 1名

熊本県 1名



きむ:東京都が最も多く、東京都・神奈川県・千葉県・山梨県の首都圏でちょうど半数となっています。


しょーぞー:全国各地から参加していますね。合宿をやるなら、全国のどこかにホストになってくれる人がいそうです。なんでこんなにばらついているんでしょうか。


えがちぇん:JPBV正会員の地域金融機関のみなさんが参加していますね。


きむ:コロナ禍で進んだオンラインの恩恵でもありますよね。オンラインがなければ、これだけ各地からの参加はあり得ないと思います。





④所属(主な収入源となっている先)



地方銀行 5名

コンサルティング会社 4名

信用組合 3名

政府系金融機関 3名

第二地方銀行 2名

金融機関からの出向先 2名

行政 2名

メディア 2名

労務金庫 1名

信用金庫 1名

都市銀行 1名

その他 2名






⑤勤務先(本店・支店) ※所属が金融機関の人のみ




きむ:所属もバラバラです。地方銀行が最も多く、都市銀行・地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・政府系金融機関で約6割となっています。


しょーぞー:金融業界ってこんなにあったかなと思うぐらいバラバラですね。


えがちぇん:全業態がそろっています。


きむ:行政やコンサルティング会社、メディアも含めると、4分の3ぐらいが金融業界の方ですね。


えがちぇん:金融業界では農協や保険、IT系の人がいませんが、改めてメンバーの多様性がSHIFTの特徴ですね。


きむ:本店勤務の人が多いですね。8割強が本店、2割弱が支店となっています。


えがちぇん:どうしてもリーチできるのが本店にいる方になりがちです。


しょーぞー:金融機関の人数的には本店より支店勤務の人の方が多いです。支店の人はまだ知らないのではないでしょうか。


きむ:SHIFTの参加者が所属先で実践している対話会などで裾野を広げていけるといいですね。


えがちぇん:伸びしろしかないですね。


きむ:各地でイベントを開催する時には、支店の人にも参加を呼びかけられるといいですね。


えがちぇん:金融機関だとどうしても本部の人の方がランクが高いとか、出世する時は本部経由などがある世界だと思いますが、SHIFTが求めているのはそこではないのかもしれません。ただ、SHIFTで得た知見等を活かす場所としては、本部の人の方が企画しやすいとか、交流しやすいというのはあるかもしれません。


しょーぞー:JPBVに参加している金融機関は本部が窓口で、「価値を大切にする金融」や「SDGs的な金融」を新たに取り入れる時は本部からになることも影響しているかもしれません。


きむ:京都信金さんから新しい方が時折参加するのはどういった経緯ですか。


えがちぇん:京信さんが内部で指名した方が参加しています。


きむ:ぼくが代表を務めるめぐるが主催するJPBVソーシャルビジネス支援プログラム「WILL」の場合だと、京信さんからの参加者は1年目だけ指名で、2年目、3年目は社内公募をされていました。そんな展開も今後は期待したいですね。





⑥所属先での役職





きむ:「社員・職員」が最も多く、「中間管理職」が続いています。


えがちぇん:自分で商売している方も多いです。


しょーぞー:これもすごくバランスがいいですね。「代表・役員」「中間管理職」「社員・職員」がほぼ3分の1ずついます。ダイバーシティ感がすばらしいです。





⑦所属先における兼業・副業の可否







⑧兼業・副業の有無





きむ:兼業・副業を認めている所属先は約6割、認めていない所属先は約4割あって、実際に兼業・副業している方は4分の1いました。


しょーぞー:現在、金融機関で兼業・副業している人はほとんどいないと思います。SHIFTにはやはり先駆者が集まっていますね。


きむ:金融機関職員などのビジネスパーソンが越境学習する機会をこれまで何度もつくってきましたが、転職組の方が外の空気を吸いに行ける印象があります。



2.SHIFTとのかかわりについて


⑨SHIFTに参加したきっかけ(一人当たり選択肢を3つずつ選択)




・「価値を大切にする金融」に興味があったから 13pt

・人脈を広げたかったから 12pt

・何かワクワクするものを感じたから 10pt

・リーダーとして成長したかったから 8pt

・SHIFTの運営者に勧められたから 8pt

・今の自分を変えたかったから 6pt

・知識や情報を得たかったから 5pt

・所属先を変革したかったから 4pt

・SHIFTの参加者に勧められたから 4pt

・上司に勧められたから 3pt

・キャリアアップしたかったから 1pt

・その他:共感をベースにした社会を実現したいと思ったから 1pt




きむ:トップ3は「『価値を大切にする金融』に興味があったから」「人脈を広げたかったから」「何かワクワクするものを感じたから」ですね。


えがちぇん:ワクワクで物事を決めない人たちだと思っていたから、びっくりしました。


しょーぞー:これも目からウロコでした。事務局的にはわかりにくさがハードルの高さだと思っていました。ちょっとなんだかわからない感じがワクワク感になっているのかもしれません。


えがちぇん:「『価値を大切にする金融』に興味があったから」を約半数の人が選んでいるのも意外でしたが、うれしいですね。


しょーぞー:JPBVが主催しているのが影響しているのかもしれません。


きむ:「価値を大切にする金融」については、毎月のベースキャンプセッションの冒頭でも必ず説明していますからね。


えがちぇん:逆に「キャリアアップしたかったから」がすごく少ないです。ビジネススクールだとこれが一番になります。


しょーぞー:そこがビジネススクールと差別化できる特徴ではないでしょうか。


きむ:何かワクワクするというのは、楽しそうにやっている雰囲気が伝わっているのかもしれませんね。




⑩SHIFTに参加する際の費用負担





きむ:約6割が自己負担、組織からの全額負担が3割強、折半が1割弱という結果となっています。


えがちぇん:これも先ほどの参加動機と紐づいているのではないかと思います。最初は組織負担だけど、ずっと組織が出してくれるわけではなく、継続したいからと自腹に切り替えてくれた人が何人かいます。最初は1人で参加して、次は自分で払うからと、他のメンバーの参加費を組織負担で引き継ぐという例もありました。





⑪SHIFTの参加期間





きむ:「1年半以上」の参加者が約6割、4人に1人が「半年以上1年未満」の参加者となっています。継続している人が多いということですね。


えがちぇん:もちろん卒業していく人もいて、新しく入ってくる人もいます。どれぐらいの期間が理想なんでしょうか。


しょーぞー:開始当初のメンバーが相当数残っていますね。





⑫最も印象に残っているベースキャンプセッション



おかわりシリーズ〜U理論とメンタルモデル(2022年10月) 9pt

U理論とメンタルモデル(2021年7月)  8pt

おかわりシリーズ〜組織変革と免疫MAP(2022年12月)  8pt

成人発達理論(2021年8月)  7pt

内面世界へのディープダイブ〜ポリヴェーガル理論(2022年9月) 5pt

金融の未来のシナリオプランニング(2021年10月)  4pt

おかわりシリーズ〜シナリオプランニング(2022年11月)  4pt

VBBとリーダーシップ(2021年4月) 3pt

組織変革と免疫MAP(2021年9月)  3pt

場作りの技術〜ファシリテーション1(2021年11月)  3pt

内面世界へのディープダイブ〜マインドフルネス(2022年8月)  3pt

システム思考でとらえるパンカーのありかた(2021年6月)  2pt

場作りの技術〜ファシリテーション2(2021年12月)   2pt

ビジョン創作3〜共有ビジョン(2022年3月)  2pt

サステナビリティとリーダーシップ〜IDGs(2022年6月)   2pt

内面世界へのディープダイブ〜プロセスワーク(2022年7月)   2pt

VUCAの時代の思考法〜DX思考(2023年1月)   2pt

VUCAの時代の思考法〜文脈思考(2023年2月)   2pt

VUCAの時代の思考法~クネビン・フレームワーク(2023年3月)  2pt

 VBBの事例から感じ取るインテグラル理論(2021年5月)   1pt

サステナビリティとリーダーシップ〜Hot Earth(2022年4月)   1pt

サステナビリティとリーダーシップ〜Post Capitalism(2022年5月)    1pt

ビジョン創作1~ニーズ(2022年1月)    0pt   

ビジョン創作2~ビジョン(2022年2月)    0pt




きむ:「U理論とメンタルモデル」が最も多く、「組織変革と免疫マップ」「成人発達理論」が続いています。


しょーぞー:みんな、自分の内面を掘り下げるテーマが好きな印象があります。


えがちぇん:事務局の実感と相関しないことがよくあります。コーチングでも、自分の満足度とクライアントの満足度は必ずしも相関しません。「印象に残っている」という問いかけなので、内面のテーマが選ばれやすかったかもしれません。テクニカルなテーマは意外と印象に残りません。このあたりもSHIFTらしいですね。


しょーぞー:毎年新しい人も入ってくるので、人気のテーマは毎年やった方がいいですね。


えがちぇん:年に1回はおかわりシリーズをやってもいいかもしれません。


しょーぞー:複数回やっても、人気が高いものは高いですね。


きむ:自分を掘ることだから、自分に刻まれる部分があります。日々忙しい人が参加しているからこそ、内省する機会がありません。

「金融を変えるために自分を変える」の「自分を変える」の部分が反映されていますね。

えがちぇん:むしろビジョンシリーズをリベンジしたいかも。



3.SHIFTのソーシャルキャピタルについて


⑬所属先以外の活動への参加頻度







⑭SHIFTの活動への参加頻度





きむ:今回のアンケートでは、SHIFTが「ソーシャルキャピタル(※1)」を育んでいるかを確認する設問も用意しました。ソーシャルキャピタルを構成する要素には3つあって、1つ目は「互酬性(※2)」です。半年間で「所属先以外の活動」と「SHIFTの活動」にどの程度の頻度で参加しているかを訊きました。所属先以外の活動は「日常的に参加している」「ある程度頻繁に参加している」「どきとき参加している」が各1/4になっていますが、SHIFTの活動は「ある程度頻繁に参加している」が最も多く、「ときどき参加している」と合わせて85%を超えています。


しょーぞー:びっくりしたのは「まったく参加していない」と「めったに参加していない」もそれぞれいることです。参加できてなくても価値があると感じているのでしょうか。


えがちぇん:参加することに意味があると思って、欠席率を気にしていました。


しょーぞー:SHIFTの価値はコミュニティなんだと確信しました。以前、SHIFT参加者との1 on 1ミーティングでも「一番よいと思っているのは参加者との出会い」という答えがありました。


きむ:仕事の忙しさもあってなかなか参加できていない人も、コミュニティに所属していることに意味があると感じているのかもしれません。


しょーぞー:「所属先以外の活動」も想像を絶するほどみんなよくやるなと思いました。新しいバンカーだなと感じます。


えがちぇん:一般のバンカーと比較すると、かなり差があるのではないでしょうか。SHIFTでもまずFacebookのアカウントをつくるところからスタートする人が多いです。


しょーぞー:私が若い頃は、銀行で働いて、銀行の人と飲みに行って、銀行の運動会に参加して、ずっと同じ人とコミュニケーションを取っていたように思います。


きむ:昔は夜遅くまで働いてという世界だったけど、今は早く帰ることができる傾向になっていることも影響しているかもしれませんね。


えがちぇん:SNSが普及して、コロナ禍でオンラインも進んで、外の人と接触するハードルは下がっているように思います。Facebookのアカウントをつくらないと、JPBVのグループページに入れないから勧誘に苦労しています。メッセンジャーなのに「拝啓」と書いてくる人もいるからおもしろいです。


※1:社会や地域における、人々の信頼関係や結びつきを表す概念。「社会関係資本」と訳される。


※2:自分が受けた贈り物、サービス行為、または損害に対して何らかの形でお返しをする行為のこと。




⑮所属先の同僚との付き合いの頻度(所属先以外で)







⑯SHIFTの参加者との付き合いの頻度(SHIFTの活動以外で)





きむ:ソーシャルキャピタルの構成要素の2つ目は「ネットワーク」です。「所属先の同僚と所属先以外で」「SHIFTの参加者とSHIFTの活動以外で」どの程度の頻度でお付き合いがあるかを訊きました。所属先の同僚とは「ときどきある」が4割強、「ある程度頻繁にある」が3割強となっていますが、SHIFTの参加者は「ときどきある」が最も多く、50%を超えています。


しょーぞー:これが一番ビックリしました。コミュニティとして育っていますね。勝手につながっていっています。


えがちぇん:飲み会だったり、仕事でつながったり、そういったことがあるようです。あえて言うと、恋愛だけは発生していない気がします。


しょーぞー:それも訊いてみないとわかりませんよね。


えがちぇん:さまざまな機会を提供できているとポジティブに捉えられますが、事務局のぼくとしても同じことが言えます。SHIFTの参加者と一緒に仕事することが増えました。SHIFTなのか何なのか、よくわからなくなっています。


『銀行法務21』の編集者がSHIFTに参加していることもあって、SHIFTメンバーで「銀行法務21」での執筆経験のある人は多いですね。


きむ:参加者同士のつながりは事務局でも追いきれていないんですね。


しょーぞー:いろいろな活動をしている方がいます。めぐるが主催している「組織課題解決ワークショップ」もそうじゃないですか。参加すると、SHIFT参加者の割合がけっこう高いです。


きむ:そうした場でSHIFTのことを知って参加する人が増えるのはいい流れかもしれませんね。




⑰所属先の同僚への信頼感







⑱SHIFTの参加者への信頼感





きむ:最後の3つ目が「信頼」です。「所属先の同僚」と「SHIFTの参加者」をどのぐらい信頼しているかを訊きました。所属先の同僚は「まあ信頼できる」で4割強、「とても信頼できる」で3割強の計75%となっていますが、SHIFTの参加者は「とても信頼できる」が6割を超え、「まあ信頼できる」と合わせて9割以上となっています。


しょーぞー:「とても信頼できる」はSHIFT参加者の方が倍くらいいますね。


えがちぇん:所属先には「まったく信頼できない」という方もいます。接触頻度でいうと、職場の同僚の方が何倍も多いはずですよね。


しょーぞー:SHIFTは本音で対話できるからではないでしょうか。


えがちぇん:利害関係がないからというのもある気がします。所属先よりもSHIFTの方が信頼されているからすばらしいではなくて、所属先の同僚への信頼度が上がることをSHIFTとしてはめざしたいです。


しょーぞー:「まったく信頼できない」はさみしいですね。


えがちぇん:信頼はともにめざすものがある時に生まれます。組織にはともにめざすものがあるので、本来は所属先の方が指標がよくならないといけません。


きむ:所属先はSHIFTに学ぶところがあるかもしれませんね。


しょーぞー:これもSHIFTがコミュニティとして機能しているということではないでしょうか。


きむ:所属先でその実践ができるように、SHIFTとしては後押ししたいですね。


えがちぇん:むしろ、この結果を逆転するようにできたらと思います。



4.SHIFTによる変化等


⑲SHIFTが内面に与えた影響(意識や価値観、能力など)



自分自身と内省したり、向き合うことができるようになった 23pt

多様な人とのつながりに感謝できるようになった 13pt

自分とは異なる価値観や多様性を受け入れられるようになった 10pt

対話力やコミュニケーション力が向上した 9pt

役に立つ知識や情報を手に入れることができた 8pt

夢や目標を達成しようというモチベーションを持てるようになった 6pt

物事の本質を見極める思考力が身についた 5pt

物事を前向きに、または楽観的にとらえられるようになった 1pt

他の人に左右されず、自分らしくマイペースに仕事ができるようになった 1pt

問題解決や成果創出のためのビジネススキルが向上した 0pt




きむ:「自分自身と内省したり、向き合うことができるようになった」が最も多く、8割以上の方が選んでいます。逆に「ビジネススキルが向上した」を誰も選んでいません。


えがちぇん:ビジネススキルのコンテンツも一生懸命入れているつもりだけれど、普通の研修とは真逆の結果が出ています。いわゆる人材育成のパラダイムとは真逆でおもしろいです。


きむ:SHIFTはやり方を教える場ではなく、あり方を問う場ということですね。


えがちぇん:これはすごくおもしろい。


しょーぞー:わかりづらいかもしれないけど、ワクワクしてもらっているのだと思います。





⑳SHIFTが外面に与えた影響(行動や成果など)



これまで出会わなかったような人たちとの人脈が広がった 23pt

自分を応援してくれる仲間が増えた 15pt

自分の意思で新しいチャレンジに取り組むことができた 12pt

仕事での成果に直結した 6pt

仕事でリーダーシップを発揮する機会が増えた 6pt

文字にしたり、話をするアウトプットが増えた 3pt

より大きな仕事上のポジションを手に入れた 1pt

収入が増えた 1pt

その他:クヨクヨ立ち止まる時間が少なくなった 1pt

仕事の効率が上がった 0pt

自分を取り巻く人間関係が改善した 0pt




きむ:「これまで出会わなかったような人たちとの人脈が広がった」が8割強、「自分を応援してくれる仲間が増えた」が5割強となっています。


えがちぇん:「収入が増えた」が1人いたのがうれしいですね。「より大きな仕事上のポジションを手に入れた」も1人います。「アウトプットが増えた」が3名いたのもうれしかったです。


きむ:SHIFTの参加者がアウトプットする機会を提供してくれる人を、SHIFTはもっと巻き込んでもいいかもしれません。


えがちぇん:まずは自分の内面が変わって、人脈が広がって、成果が出て、という流れだとすると、成果の部分がまだ少ないです。仲間が増えて、応援してくれる人は増えました。このペースで次はわかりやすいアウトカムやインパクトが生まれるとうれしいです。


きむ:今回はSHIFTを開始して2年後のアンケートなので、3年後、4年後とやっていくと変わっていくように思います。


えがちぇん:そういう意味でも伸びしろしかありませんね。





㉑所属先の同僚へのSHIFTのオススメ度合い





きむ:「7点」が最も多く、ネットプロモータースコア(NPS/※)で「推奨者」「中立者」とされる「7~10点」で8割を超えています。


えがちぇん:NPSには「推奨者の割合-批判者の割合」という計算式があります。9~10点が「推奨者」で、0~6点が「批判者」です。いろいろな業界で使われていて、銀行だとマイナスが出ることが多いです。今回のアンケートでは推奨者が32.1%で、批判者が17.9%なので、スコアは14.2ポイントになります。


しょーぞー:ネットで有名企業のNPSを調べると、ほとんどがマイナスですね。


きむ:最近の金融業界だと、北國銀行さんがマイナスであることを公表されていました。


しょーぞー:銀行だと平均でマイナス44ポイント、電力会社はマイナス48ポイントになっています。


えがちぇん:普通はマイナスになっています。日本を代表するビジネススクールのグロービスもNPSを公開していますが、42.4ポイントとかなり高いスコアになっています。業態によっても違うので、SHIFTの場合は研修会社と比較した方がいいかもしれませんが、まだまだ伸びしろがあると思います。


※顧客ロイヤルティや顧客の継続利用意向を知るための指標。「0~10点で表すとして、この企業(あるいはこの製品、サービス、ブランド)を親しい友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問に対する答えを基に、点数(推奨度)によって顧客を「推奨者(9~10点)」「中立者(7~8点)」「批判者(0~6点)」の3つのグループに分類する。





㉒バリューベースバンキングの実現に向けたアクション ※個人や所属先が特定される内容は修正しています



●地域経済エコシステムの実践。


●月1回のベースキャンプセッション、ラーニングジャーニー、インターバルセッションからの学びや体験を社内組織及び社外のグループコミュニティに少しずつでも取り入れながら、トライ&エラーで働きかけているところです。お客様の課題が多様化する中、私たち自身の意識改革やそれぞれが抱える課題が軽減できるよう、本質的な座談会、勉強会、対話会等の企画運営にチャレンジしています。規模やボリューム感はSHIFTとは異なりますが、今はひとまず打席にたってバットらしきものを振っている状態です。


●銀行での対話会提案やセミナー等学びの場への参加、対話(オープンダイアローグ)の場づくり、実践。


●銀行内で小さな火種をたくさんつくっています。その火が少しずつ燃え広がり、大きくなることを見届けたいと思っています。


●オープンイノベーション、ソーシャルイノベーションが起きるウェルビーイングな社会変革が起こるビジョン実現を目指して活動をしています。延べ5,000人くらいの多様な人たちがいる複数のコミュニティに参加し、900名以上の方々とFacebookでもつながって、多様な立ち位置から発信や交流の機会をつくりました。結果的に所属する銀行のステークホルダーとも積極的に交流し、自分の見ていない世界をできるだけ知ることができました。多数のステークホルダーのみなさんに自分の考えを伝えることで、勤務先の銀行が変わる環境を整えようと取り組んでいます。あとはバリューベースバンキングの世界観の銀行員の活動はこんな感じではないかとイメージして、やれることを日々やりながら経験を積んでいます。


●対話を広げる。


●自組織(出向先)の基幹会議にて、自治体・各金融機関・労働団体と対話する場を設け、ミッションとは何かを共有する場のファシリテーターを務めることで、相互理解と次のアクションに向けたコンセンサスを高めることができた。一方で、どれだけ今の自組織でできることをがんばったとしても限界が見えており、自分としては地域共生という文脈を踏まえつつ次の世代が希望をもってチャレンジし続けられる組織を増やすことに直接的にかかわりたいと考えている。そのためにはプロボノでも何でもこれまでの学びを活かしてチャレンジしたい。


●新規事業創出を通じて会社の変革を進めています。


●コンサルティング、コーチング等による金融機関への支援。


●雑誌制作を通じた情報発信。


●心理的安全性のある環境を行内に広めるべく、対話会の実施に向けて動いています。正解のない時代に合ったコミュニケーションを通じて、行員のモチベーションや問題意識を高め、真に社会的に価値のある銀行にしていきたいと思っています。


●本質を考えながら仕事に向き合っている。変化や潮流を捉え、前例踏襲ではなく、自分で考えて、腑に落ちてから行動している。


●直接つながっているかはわかりませんが、自分がやりたいことや仕事に対する自分なりのビジョンを口に出すようにしています。


●ソーシャルビジネス(SB)事業者に対する金融排除を改善するために、金融機関(役職員)によるSB支援を促進している。


●金融の役割と可能性を楽しみながら、顧客の思いを理解し、当事者意識を持った対話と支援を心掛けています。


●まだまだ職場のルールに適応するフェーズで自分らしさを発揮する前段にありました。適応しつつも自分を持って染まることないようにしながら、自分らしさを発揮していきたいと思います。


●自組織でSHIFTと似たような対話会などの活動を開始している。


●SHIFTのベースキャンプセッションや所属先での活動を通じて幅広な知見を吸収し、今後の活動に生かしていこうと考えている段階。


●不動産業界は原則担保評価という観点が多いが、対話から成り立たせる評価基準を金融機関職員への啓蒙や執筆等で実施している。


●思ったことを言語化して伝え、関係者との対話の機会をつくる。


●組織での対話会の実施。





えがちぇん:自分たちの職場で対話している人が増えている印象があります。直接見えているところ以外にどんどん広がっていますね。連鎖してインパクトになればいいです。SHIFTもいろいろな対話の場から影響を受けて始めています。それが誰かに影響を与えて、今もその連鎖の中にいて、つないできた役割があったことを実感します。これまで自分にいろいろと伝えたり、教えてくれた方に感謝したいですね。


しょーぞー:前にえがちぇんが「対話は連鎖する」と言っていました。本当にそうだなと思います。


えがちぇん:仕事でわかりやすい成果が出ることもうれしいけれど、対話の連鎖は息が長くて広がりが多くて、それはそれでうれしいです。


きむ:規模の大小はあれど、対話は自分次第で取り組めることですよね。金融も人とのつながりで成り立っているので、対話との親和性はすごく高いと思いました。自分が変化の起点になることができ、レバレッジを利かすこともできます。


えがちぇん:“A sign of a good leader is not how many followers you have, but how many leaders you create.”というガンジーの言葉が好きです。たくさんのリーダーをつくりだすのがリーダーと思っています。対話のリーダーをつくって、その人がまた別のリーダーをつくって、その連鎖を起こしたいですね。


しょーぞー:アンケートで視覚化されると、説得力がすごいです。


きむ:アンケートは定期的に実施して、定点観測しましょう。


えがちぇん:毎年3月にやりましょう。